top of page

光の春

更新日:2024年2月2日

 冬から春に向かうこの時期を、光の春と表現することがあります。もともとは冬が長いロシアの言葉らしいのです。それが日本でも用いられるのは、春らしい陽気とはいえないけれど、確実に日差しが伸びていることに春を感じようとする気持ちがよくあらわれているからでしょう。

 能登半島地震の被災地では、ライフラインの復旧が急がれています。なかなか進まない工事に苛立ちを募らせる人も多いと思われます。仮設住宅の建設が遅れているので、そこに移転するまでに疲れ切ってしまいはしないか心配です。東日本大震災とは全く状況が異なるので、軽率なことは言えないのですが、共通した部分が見出されるたびに心が痛みます。あの時の被災地では、梅や桜の開花も話題にならなかった。そんなことに気にとめる余裕などなく、朝、床から起きたときにある課題のため終日走り回っていました。それでも春が来て、何かが少しづつ動き出していったような感覚があります。

 春は待ち遠しいけれど、その足音がなかなか近づいてくれない。まるで行ったり来たりしているように思われてしまう。北風に晒されたり、雪と氷に閉ざされるようなことが起こったりもする。あるいは裏切られたような気持ちになってしまう。それでも確実に春は来る。冬枯れの中に、突然に花を咲かせるアーモンドのことを、パレスチナでは目覚めの木と呼ぶようです。春にはそんな驚きと感動があります。

 神への信仰では、春を待つ思いと共通なものがあると思います。神の言葉が成るということでは、光の春と同じような確実さがあるからです。近くの家の庭先に福寿草が咲いていました。春はそこまで来ていると実感しました。

最新記事

すべて表示

海と空

震災の追悼記念があった日の前日、故郷である気仙沼まで車を走らせました。海は、どこまでも青く穏やかでした。魚市場周辺の埠頭には多くの漁船が連なって、昔の活気をとり戻しているかのようです。それでも、打ち消しても打ち消しても、どうしても14年前の光景が頭をよぎるのでした。...

子どもの頃、寝床から天井を見上げると星空が見えました。天井板が貼ってなかったこともあり、屋根に空いた小さな穴から星の光がストレートに入ってきたのです。それにしても、探しても見つからない穴なのに、どうして星空が見えるのだろうと不思議に思ったものです。後にそれは、ピンホール効果...

父が肺癌で亡くなって、母は大腸癌でした。ですから、8年前、精密検査を受けるよう通地がきたときには、いよいよ来るべきものが来たかと腹を決めました。なかなか止まらない咳に、いつもの風邪の症状とは違うものを予感していたからです。大学病院での検査では、肺に陰が認められるとのことでし...

Comments


最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square

© 2023 by COMMUNITY CHURCH. Proudly created with Wix.com

bottom of page