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エイプリルフール

  • 執筆者の写真: 秋山善久
    秋山善久
  • 2017年4月1日
  • 読了時間: 2分

正午が過ぎて、そう言えば今日は4月1日だったと思いつきました。呑気にその時まで寝ていたと

いうのではありません。朝から苦手な会計事務のため忙殺されていたのです。というのも、昨年から町内会の会計を任され、これから監査があるからです。金銭の出し入れは専ら家内に任せているのですが、帳簿などの資料は私が記載してきました。監査のための資料はマニュアルが定まっていて、これが結構な分量になります。1円でも間違いがあってはならないのが会計の務めですから、慎重に最後のチェックを入れていました。

  作業を終えて、ふと窓の外に目をやると、庭木に小鳥がとまっているのに気がつきました。ふっくらとした体に長い尾があります。ウソです。エイプリルフールの日にウソが来た。洒落みたいなことでした。調べてみると、鳥のウソは、ヒイーという鳴き声からきているようです。これが口笛を意味する古語の嘯と結びついたと辞典にありました。

 誰が決めたのか、エイプリルフールは4月1日の午前までがルールだそうです。だからもう時間切れです。その嘘というのも、だまされた人が「なあんだ嘘だったのか」と笑って済ませることができることが前提でしょう。そんな嘘を最近は聞いたこと がないような気がします。ユーモアはすっかり消えてしまって、嘘と言えば虚言が暴かれ、人がどこまでも貶められることばかりが目立ちます。

 ほんとうにウソが来たことの記念写真をと思って、カメラをとり出しカーテンをそっと開けました。そこで構図を考えてしまったのが失敗。人の気配を感じて、シャッターを押す前に飛び立ってしまいました。ヒーという鳴き声は、どこかもの悲しい響きがします。

 
 
 

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