top of page

納豆汁

最近凝っている食べ物に納豆汁があります。と言っても本物を食べたことがないので、

果たしてそれが納豆汁と言えるものなのかどうか。ただ記憶を頼りに自己流で作っているだけです。40年程前、寮生活をしていた頃のことです。秋田出身である同室の友人が、突然、「納豆汁食いてえ」と叫んで六畳の部屋の中をのたうち回ったのでした。年末が迫り、故郷の味を思い出したのでしょう。私はそのとき初めて、この世に納豆汁なるものがあることを知ったのでした。友人の話で覚えているのは、みそ汁に納豆をすり潰して溶かすというようなものでした。それに油揚げを入れるみたいな。それだけのことですが、どういうわけか、最近その記憶がよみがえり、自分で作ってみることにしました。僭越ながら、私が試行錯誤をしながら得たレシピを紹介しましょう。1人前の作り方です。というのも、納豆そのものに好き嫌いがあるので、一気に家族全員の分を作るのは危険です。少なくても我が家では・・・。そこで納豆1パックの蓋を開け、これを包丁でトントンして細かく切ります。パックに入れたままするのがコツです。そうすれば、まな板をねばりで汚すこともありません。ひきわり納豆も市販されていますが、納豆汁には合わない気がします。十分に細かくなってペースト状になったものと、つぶつぶが半々に混ざったぐらいがベストです。これをみそ汁に溶け込ませます。最後に好みによって昆布つゆ、料理酒、みりんを加えて味を調え、ごま油を少し垂らします。ただし奥様の怒りに触れないようにです。

最新記事

すべて表示

希望への転回

初めて地動説を唱えたコペルニクス。根本的に考え方を新しくすることを表現するのにコペルニクス的転回という言葉が使われてきました。少しきざな感じがしますが、相手に考え方が大きく変わったことを納得してもらうのにこれ以上の表現はないような気がします。 20代の初めにキリスト教信仰をもったとき、それまでの世界観が大きく変わったような感覚がありました。教会からの帰り道、住宅街にあるすべての風景が輝いてみえたの

弱さと尊厳

いつも行く図書館の貸し出し口で、職員の大きな声がしていました。目を向けると、白髪の男性がコピー機の使い方を聞いているのです。 「いくらですか」と男性。若い職員が「10円です」と面倒くさそうに答える。するとまた「いくらですか」と聞き返す。「10円です」「え?100円」周りが少しざわついて、「あほか」という小さな声が聞こえてきました。男性は軽い認知症を患っているのかも知れません。今言われたことを理解で

ロータリーの真ん中にある桜が開花しました。私も含め団地の人はみな、毎年、その開花を楽しみにしているのです。けれどもそれは盆栽のような低木で、わざわざ花見に来るようなものではありません。せいぜい近くのコンビニや郵便局に立ち寄った人が、帰り際に一瞥して微笑むようなことで終わります。それでも桜の名を冠した団地の象徴的な存在でありますから、春から秋にかけては区域ごとに当番を決めて雑草を抜くなどの手入れ作業

最新記事
アーカイブ
タグから検索
まだタグはありません。
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page