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トリチウム

  • 執筆者の写真: 秋山善久
    秋山善久
  • 2021年4月15日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年4月19日

 トリチウムが含まれる福島原発の処理水を、水で薄めて海洋放出することが政府内で決定されました。このことでは福島の漁業関係者ばかりではなく、周辺国を巻き込んで大きな反対の声があがっています。放射線と聞いただけで恐怖感もつ人が多いので、いくら安全だというデーターが示されても、海洋投棄がされたら風評被害が拡大することは避けられないでしょう。

 原発事故が発生する前には、トリチウムという物質は一般にはほとんど知られていませんでした。けれども、40年程前、トリチウムは国の命運を決する重要な物質としてもてはやされたことがあります。学者の中には、非常に少ないこの物質の争奪が世界大戦に発展するという人までいたのです。何に使うかというと、核融合の原料とされたのでした。核融合とは、水素と重水素とトリチウムが素粒子に分解された中でヘリウムに合成されることです。このときに巨大なエネルギーが発生するのですが、ウランの核分裂と違って核物質を放出することはないとされています。太陽は核融合でエネルギーを供給しているので、核融合のことを地上に人口の太陽を造ることだとも言われます。そのため先進国では競って建設プロジェクトが立ち上がっていました。かつて私がいた会社では幾つかの実験装置を受注していて、私はその装置の真空度を高める作業をしていました。

 けれども、プラズマ状態になった素粒子を電磁波で封じ込めコントロールするということは非常に難しく、今日に至るまでどこの国でも成功していません。仮に核融合が臨界という状態を維持したとしても、一億度もの熱をどのように取り出して発電に生かすかという課題が残されています。

 原子番号では水素は1、ヘリウムが2、トリチウムは3です。そこからすると、これらの物質は単純な構造をしているよう思われがちです。けれども、実際には何もわかっていないということなのかもしれません。科学の進歩は人類に無限の可能性を与えるものとされていますが、人は創造者の前にもっと謙遜にされることが求められているような気がします。

 
 
 

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