地上の太陽
- 秋山善久

- 2024年2月29日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年3月1日
先日、久しぶりに海から昇る太陽を見ました。暗い水平線に白い一本の線が引かれ、雲が赤く染まってきて、だんだん空が白くなっていく。「春はあけぼの ようよう白くなりけり」という感動は、今も昔も変わらないものだと思わされます。
50年程前、私は勤めていた電気会社で、地上に太陽を作る製品の作業員をしていました。地上の太陽とは核融合装置のことです。太陽は水素と三重水素(トチチウム)の核融合がエネルギー源なので、人工的に同じ原理を用いる装置のことが地上の太陽と言われています。 会社の上司は、入社したばかりの私を勉強のためということで、最先端の部署に配置したのです。実験装置は、原子力研究所や大学から受注したものでした。けれども、その頃の私は、人生に何の意味があるのだろうといったことだけが関心事でした。会社では人材育成から物理の授業があったのですが、恥ずかしいことに私は隠れて三島由紀夫の小説などを読んでいたりしたのです。あるときそれが講師にみつかってしまい、上司はカンカン。真剣さがないということで、その部署から外されてしまいました。
核融合の研究は世界中で続けられています。最近見たネットニュースには、核融合のために政府はもっとお金をかけて人材確保し研究予算をとれというのがありました。もし成功すれば莫大な富をもたらすとあります。けれども、よくみると技術的な課題は、50年前とあまり変わっていません。
そうしたことを考えてみると、光と熱を安定して供給し続ける太陽が如何に優れたものであるかがわかります。巨大な太陽フレアが発生しても、地球では電磁波に影響を受けるぐらいのものですから。地上の太陽が実現するには、まだまだ時間が必要でしょう。あるいは未完成のまま終わるかもしれないです。いずれにしろ、いつも目にする太陽の恵みが当たり前でないことを知り、創造者に感謝することが大切なように思います。




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