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務所帰り

  • 2016年9月3日
  • 読了時間: 1分

友人とスカイプを使って会話を楽しんでいたときのこと。「今、刑務所から帰ってきたばかりなんだ」といったら、「その言葉は、ほかの人が聞いたら別の意味になるよ」と注意を受けました。私としては、月に一.二度、教誨目的で一人の受刑者を訪ねているので、そのことをいったのですが、聞きようによっては私が刑務所から今出所したみたいに誤解されてしまうということです。刑務所という言葉には、特別な響きがあるものだと改めて覚えさせられました。考えてみれば、特殊な面会なのです。アクリル板を間にして訪問者と受刑者と向き合うのですが、向こう側には刑務官がいて、絶えず話の内容を一生懸命メモしているのです。会議で議事録をとることには慣れていますが、雑談の議事録をとられるのは、そこぐらいしかないでしょう。それに議事録は正確かどうかチェックできますが、そこでのメモはみることができません。「牧師ー怪しい」ぐらい書いてあるもしれない。ちょっとばかりミステリアスな空間です。



 
 
 

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再会

数年前、思いがけなく声をかけられて、青年時代の知人と再会しました。およそ50年ぶりになります。かつて私は日立製作所の社員でした。配属されていた現場には、開発を始めたばかりの超伝導の製品が流れていました。核融合の実験装置とか、リニアモーターカーの浮上装置のような物です。これは最先端の部署で学ぶようにと、担当課長の配慮によるものです。それでも、わたし自身は、連日の単調な作業に飽き飽きしていました。  

 
 
 
梅の香り

春の気配が漂う川沿いの道を散歩しました。愛犬がいた頃には、連れだってよく歩いた路ですが、五年ほど前に寿命でいなくなってからは、この道を通るのも久しぶりです。土手に枝を張った老梅は、もう満開が過ぎていました。それでも、白い花びらから放つ強い香りは春の到来を告げていて、鼻孔を懐かしく刺激します。大きく息を吸い込むと、子どもの頃の記憶が呼び覚まされました。  この季節だからでしょう。思い出したのは、笹竹

 
 
 
雑談とコーヒー

教団総会の休憩で、知り合いの牧師と雑談をしていたのですが、思いがけなく話が発展しました。 「とにかく、最近は生(なま)の人間に向き合おうとしないんですよ。スマホでメールでやり取りしないと話し合えないなんて」  既に中年の域にかかったその牧師は、関っている若い人たちの感想を、溜息まじりに痛みを紡ぐように語るのです。 「そうですか。言われてみれば確かに」と、私は、手にしたコーヒーをゴクリと飲み込みなが

 
 
 

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