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北帰航

2024年2月9日
読了時間: 2分

 近くの水の森公園を歩いていて、蕗の薹(ふきのとう)が顔を出しているのを見つけました。子ども心になって、春を探していると楽しくなります。散歩コースであるこの公園の端に丸田沢という溜池があります。毎年、ここに多くの鴨や白鳥たちがきて観察者たちを楽しませているのですが、その白鳥たちが北に帰るときが近づいてきました。夕暮れになると、周辺の餌場から編隊を組んで引き揚げてきて、少しづつ高度を下げながら布をかけるように静かに舞い降ります。それは何度みても見事と思える着水で、その姿をカメラに納めたい人にとっては絶妙なシャッターチャンスになります。

 遊歩道を歩いていて、そうした構えをしていた御婦人に「いい写真が撮れましたか」と声をかけてみました。するとその方は軽くカメラを持ち上げてニコリとしました。「今は五十羽ぐらいですかね。先週は百羽ぐらいいました」と私。「五時半ぐらいがピークになると思います。その頃には百羽になるでしょう。」と明るく答えてくれました。その時間には風も冷たくなるでしょうに、ずっと待っているようでした。

 北に帰る白鳥には、どことなく郷愁のようなものを感じます。一旦飛び立ってしまえば数千キロの旅をしなければならない。それは過酷な試練に違いないのです。それでも生き延びるためにはどうしても通過せざるを得ない。そうしていのちを繋いできたんだなあと考えてしまいます。それからすれば、地上に張り付いて生きている人というのは、愚かな存在にみえてしまうかもしれません。そういえば、聖画に描かれた天使の絵には、見事な翼が描かれていました。

 
 
 

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