どんぐり
- 秋山善久

- 2023年10月26日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年10月28日
秋らしい季節になって、クヌギやナラの木の下には、たくさんのどんぐりが落ちています。子どもの頃は、それを集めてヤジロベーを作ったりしたものですが、近頃そんな遊びをする子どもはいるのでしょうか。どんぐりの実は種ですから、しっかり蒔いて育てさえすれば、やがて芽を出して木に成長していきます。でも木の下に落ちたどんぐりが芽を出し木にまで成長する確率というのは、ほとんどゼロに近いのではないでしょうか。それよりも、鳥とか小動物によって食べられてしまう。また、そうした鳥や小動物によって他の場所に運ばれて、そこで芽を出したりすることは初めから計算されているのかも。
熊がどんぐりを食べることはよく知られています。今年などは、猛暑の影響で山にどんぐりが少ないので、熊は人がいる里や住宅地にまで下りてきたりしています。熊だっていろいろあるんでしょう。あるいは胃の調子が悪くなって未消化のまま排泄したりする。それでどんぐりが芽を出すということが起こり得るかも。勝手な想像ながら、そんな不測の事態で発芽するのがメインかもしれないです。ありそうもない出来事が生存のシステムであるとすれば、自然の奥深さは人の知恵の遥かに及ばないものです。どんぐりが落ちてしまうと紅葉が進み、やがて葉を落としていきます。その葉が地面を覆うと腐葉土の役割をする。どんぐりにとっては布団のようなものでないでしょうか。葉が先に落ちて、実だけが残る木もあります。そうした木の実は鳥が来て食べてしまう。これはこれで、実が芽生える可能性を秘めていると言えるでしょう。
万事が効率だけが優先される今日の社会では、こんな不効率なシステムを適用した企画など見向きもされないでしょう。でも、気が遠くなるような時間の中で、しっかりと支えられ、根付いてきた自然の営みのひとつひとつをもう一度考え直してみたいと思います。




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